計画段階

計画段階における管理組合の活動内容を段階をおって整理すると下図のとおりです。
計画段階では、まず建物調査診断の結果に基づき基本設計が行われます。
併行して設計予算書が作成され、管理組合の工事予算と工事内容を検討し調整いたします。
ここで、十分な修繕積立金がなく調整に支障がある場合は、借り入れなどの資金計画を検討しなければなりません。
管理組合の工事予算にある程度の目途がつけば、実施の実際の修繕計画を策定することになります。この実施設計を基に、施工会社選定を行い公募の中から選出した施工会社に見積もりを依頼します。共通の工事仕様と数量で比較することが、ポイントとなります。

計画段階における活動内容

※コンサルタントがサポートします。

建物調査診断の実施

現状の建物の劣化状況を把握するため、一般調査、機器調査を依頼します。事前に、居住者へアンケートを実施し問題点や要望事項を収集します。

建物調査診断報告会の開催

居住者へ現状の建物の劣化状況の報告と併せ、建物の維持保全の意識を高める機会とする。

基本設計の検討

建物調査診断に基づき、今回の大規模修繕工事の範囲や仕様の検討を行います。この段階で、実際の積算数量による設計予算が出されますので、それを目安に優先順位を付け工事範囲や項目の絞り込みを検討します。

実施設計の検討

基本設計を基に今回実施する工事の内容がほぼ決定します。必要な費用が修繕積立金で賄えるか、不足する場合にはどのように対応するか検討します。

設計計画説明会の開催

居住者へ今回の大規模修繕工事の予定工事内容についての説明と、打合せの経過について説明する。
(調査の報告会と併せて実施することもある)

施工会社の選定

施工者を公募等で募集しますので、工事規模に合わせた選定の条件等を確認します。また、ヒアリング等では居住者の目線で質疑を行います。

総会で実施計画の決議

施工者、契約金額、工事の内容を総会で決議します。
契約金額とは別に予備費や修繕委員会の権限なども併せて承認を受ける必要があります。

 

1 : 工事中に発生する問題への対応
●劣化診断の必要性

修繕工事を実施するためには、どの部分が、どの程度、どのように傷んでいるかを調査し、必要な修繕の内容と時期を定めることが必要です。
修繕工事の設計間に劣化診断を行うことにより、具体的にいつ、どこを、どのように修繕すべきかが明らかになります。このため、劣化診断の結果は、修繕工事の実施計画を作成するための重要な資料となります。また、客観的な修繕の必要性が明らかとなることから、理事会や専門委員会での検討の際だけでなく、区分所有者からの合意を得る上でも重要な資料となります。

●劣化診断の内容

計画段階で行う劣化診断は、次のとおり修繕工事の内容と時期を確定するために行います。
修繕工事の準備段階で行う劣化診断・・・工事内容と時期を確定するために行う
長期修繕計画はあくまで修繕工事の内容や実施時期についての目安です。個々の分譲マンションによって劣化の状況が異なるため、実施時期が近づき、具体的な計画の内容を検討する際に、実際にどの程度の劣化が進んでいるかを総合的に調査し、その結果に基づいて実施の時期や工事の内容について診断を行うことになります。

2 : 資金計画

劣化診断の結果に基づき、工事内容の検討と併せて、そのための資金をどのようにして調達するかを検討しなくてはなりません。
この資金計画は、所有者の合意を形成するために極めて重要です。
修繕工事の計画段階に至る以前に、修繕積立金でまかなえるように備えておくことが原則ですが、もし、この段階になって資金不足が明らかになったのであれば、どの程度不足するのか、それをどのように負担するのかを検討し、最善の対応策を所有者に提示することが必要です。
資金不足に対応する方法としては、不足分を一時金として徴収する方法と、住宅金融公庫や民間金融機関から借り入れる方法があり、さらには、これらの組み合わせによる方法も考えられます。
いずれの方法を採用するにしても、工事の必要性、必要な工事費用の根拠及び各所有者の具体的な負担の内容を含む複数の資金計画の案等について、わかりやすい説明資料を作成し、説明会や広報誌の配布、アンケート調査等を行い、合意形成していくことが必要です。
なお、資金を借り入れる場合は、修繕工事に着手する前に、修繕実施計画に基づき融資の申請手続きを行うことになります。

1)不足分を一時金として徴収する方法

不足する額を各所有者から一時金として徴収する方法です。個々の所有者の経済状況に差があることや、徴収事務に手間がかかること、また延滞の発生が危惧されることなどに注意が必要です。
一般に、一時金の徴収は、その額にもよりますが、合意が得にくい場合が多いと考えられますので、合意の得られる範囲の無理のない額に設定し、借入による方法との併用を検討することも必要です。

2)住宅金融公庫や民間金融機関から借り入れる方法

管理組合が不足分を一括して借入れ、工事完了後に修繕積立金の増額により返済していく方法です。ただし、跡で大きな負担となることがないよう十分検討する必要があります。
借入先は、住宅金融公庫の「マンション共用部分リフォームローン」を利用するのが一般的です。また、東京都や区市でも助成制度を用意しています。なお、民間の金融機関については、個々の金融機関で取り扱いが異なるので、直接お問い合せ下さい。

3 : 施工会社の選定方法

施工会社の選定に当たって最も重要なことは、選定の方法とプロセスが公正であることです。
常に全ての所有者に対して客観的かつ分かりやすく情報を開示しながら、だれもが納得のいく方法で選定する必要があります。
現状では、公募による施工者の募集から、1次選定、2次選定、ヒアリングによる最終選定という方法を推奨しています。